こんにちは!デンマークのガイド・通訳・コーディネーターのウィンザー庸子です。
今日は、デンマークの水事情に関して、お話させていただきます。
~デンマークの水事情に関するレポート~
デンマーク人の水への意識について
デンマークでは、水道水に地下水を使用しており、水質はデンマーク全土で大変良いという認識がある。また、デンマーク人は、水道水を飲用水や調理用の水として使用している。
海に囲まれたデンマークにとって、海や運河、水はとても身近で貴重な存在である。デンマークのどの地点に立っても、海岸から50km以上離れることもなく、マースクというデンマークの海運外車は海運業界で世界一のシェアを誇る、デンマークの産業の大きな柱となっており、またデンマーク人はバイキングの思想ということで、デンマーク人は歴史的にも経済的にも水や海を大変大切にして生きてきた。
例えば、首都のコペンハーゲンでは、市内中心部を流れる運河の水が1990年代に汚染されたが、浄化活動の後に市内中心部にもかかわらず、運河を区切って市営の市民プールが作れる、つまり、市内中心部の運河の水が口に入っても問題ないほどにきれいな水となったことが、コペンハーゲン市のご自慢で、コペンハーゲン市のプロモーションビデオには必ず、風力発電の風車と共に、運河プールが環境対策の先進都市の象徴として出てくる。
飲用水、調理水、生活用水について
デンマークでは、一般に家庭用の飲用や調理用には、水道水を使っている。
ウォーターサーバーや、浄水器を備えている家庭は見たことがない。
ペットボトル水は、携帯用に購入するが、ペットボトルのプラスティックは水道水よりも体に悪い、とか、環境と家計の為に水道水を飲みましょう、という啓蒙が新聞記事などでなされてもいるので、水道水のほうが環境や健康に良いと考える人もいる。
携帯用のペットボトル水のサイズは、500mlと1.5リットルが売られている。主な形状は左の図の通り。前と比べてサイズや形状が変化したという傾向はない。
会議の席などで出される水は、基本的にはペットボトル入りのミネラルウォーターだが、時折、環境に配慮していると記載された紙パックタイプの水が出てきたりする。パッケージには「デンマークの良質な水道水」と明記してあり、これはデンマーク人の自信のあらわれだと、日本人から見て思う。
デンマークでは、水道水が調理用水として広く使用されている。
デンマークの水は硬水なので、沸かすと底にカルシウムの粉がたまる。したがって、スパゲティーや野菜をゆでるときには、湯沸かし器のお湯を最後まで鍋に入れないことが重要である。これは、ゆであがったスパゲティーや野菜に粉が絡まると、砂をかむようでおいしくなくなってしまうため。
デンマーク人は自国の水道水に絶対の自信を持っているので、調理用など家庭での使用の為に、水道水以外の水を使っているという家庭やレストランなどは聞いたことがない。
デンマーク人は、温水が高額という意識が高く、実際に高額でもある。また環境への配慮からも、 水を大切にし、例えば、シャワーも短く浴びる傾向がある。
短い風呂(実際にはシャワー)に入ります、という言葉もよくつかわれる。
浴槽も、同じ理由で温水が高額につくので、持たないという家庭が圧倒的に多い。浴槽がある家は、私の印象では、20件に1件くらいだと思われる。
うちにも浴槽がないが、冬場は特に寒いのに、寒いままシャワーを浴びて、寒いままシャワーを出ているので、デンマーク人が浴槽を求めないのが理解し難い。
夫が家計の観点から短い風呂にしろというのが、日本人としては不満だが、上記の理由でシャワーではいずれにしても温まらないので、日本に帰るとき以外風呂にリラックス効果は求めてはいけないのだと思っている。
デンマークでは風呂は洗浄の為のみと考えたほうが失望が少ないと思っている。
水の硬度について
かなり硬水。
私自身、またデンマーク人にとって、肌や髪の毛、料理に対して味の違いは判らない程度の硬度だと思っているが、これは先にも記したとおり、デンマーク人の製品に対する期待値やこだわりが一般的に日本ほど高くなく、私自身もこれに慣れてしまっていることに一部起因している可能性もある。
以前イギリスにいた時には、髪の毛がぱさぱさになると思った記憶がある為、イギリスよりは実際に硬度が低いのかもしれない。
利用用途によって水を変えるという人は聞いたことがない。
水に種類があることに対する認識に関しては、洗濯用洗剤のパッケージには、一回の使用に対する所要量が、硬水の場合、軟水の場合と分けられているので、硬水と軟水の違いは認識している。
しかし、お茶やコーヒーのために軟水を使用している人、または硬水や軟水に関して日常生活で分けるようにしているなどといった話題にしている人は聞いたことがない。
健康意識と水
デンマーク人は、ディスカウントスーパーなどでもオーガニック食材の選択肢が豊富で、健康への意識も高いため、ソフトドリンクよりも水を飲むという人も多いが、健康のために水道水以外の水を選ぼうとする人は聞いたことがない。
環境問題と水
デンマークの水道水は安全で美味しく、ペットボトルは体に良くないのと、環境問題への配慮から、水道水を紙パックに詰めた製品が存在できるほど、水道水が環境面でも安全面でも信頼されている。
学校や職場、また外出時に自分用のMY水筒は、欠かせないが、住めているのは家庭の水道水である。
外出先で水がないときにはペットボトルのミネラルウォーターを購入することも一般的だが、公園やトイレの水でマイボトルに給水する人もいる。
デンマーク人の、デンマークから汲み出された地下水である水道水への信頼性は高く、また環境への配慮からも、デンマーク人は生活に使用する水として、それ以外の選択肢があることを考えたこともないだろうと思う。
外出時の携帯用に使用するマイボトルは、
飲み口にはキャップがなく、飲み口の先を口で引っ張り出すと飲め、口が押し戻すとロックされて水が溢れなくなるという形式。
飲み口にキャップがないボトルをそのままカバンに入れたりしても衛生的に問題を感じないという所が、
細部にあまりこだわらないデンマーク人らしいなと常々思っている。日本ではこういった製品は市場に
出回ることもできないだろう。
リサイクルへの意識・実態
デンマークではペットボトルの飲み物を買うと、支払い時に飲料の値段プラスαで、ボトルのデポジットを払わなくてはいけない仕組みになっている。飲み物を飲んだ後、空になったペットボトルをスーパー内にある回収機に入れると、デポジット分の引換券が出てきて、レジで換金または買い物の購入額から引いてもらえる。
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