デンマークでセクハラに関して秘密保持契約を交わすことに対する批判

北欧デンマーク通信

デンマークの教育や生活、働き方、制度やデンマーク人の考え方について

こんにちは！デンマーク公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーターのウィンザー庸子です。

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デンマークの人口は約580万人で、これは兵庫県の人口規模とほぼ同じとなっています。ちなみに、コペンハーゲン市の人口は市内が約65万人、市外の住宅地なども入れたコペンハーゲン圏では約130万人で、これは神戸市の人口規模に匹敵します。国土の大きさは九州くらいです。

我が家には、デンマーク人の主人、デンマーク人でもあり日本人でもある、中学校1年生と、4年生の男子2人と、1歳のちょうどお誕生日の日から保育園に入った3歳の女子1人と、日本人の私がいます。

そこで私たちがデンマークで生活する中で感じる、デンマークの教育や、仕事や、生活や制度、デンマーク人の考え方について、お話したいと思います。

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デンマークでセクハラに関して秘密保持契約を交わすことに対する批判

デンマークでは、ほとんどのセクハラ問題が、裁判ではなく職場での調停で片付けられています。そして、職場での調停のほとんどで交わされるのが、起こったセクハラに関して今後一切公言しないという秘密保持契約となっています。

しかし専門家の多くが、この非公式な場で秘密保持契約を交わすことは、将来深刻な影響を及ぼす可能性があると指摘しています。

2021年2月14日デンマーク国営放送の日曜日夜のニュース番組「２１サンダ」で、現政権である社会民主党の元秘書が、１０年前に交わされたセクハラ問題の秘密保持契約によって、長年苦しめられてきたことを告白しました。敢えて過去に交わした秘密保持契約を破ることによって、自分の過去に関して裁判所が介入できるようにしたのです。

オルボー大学の政治社会研究所のアネッテ・ボーショート教授は、デンマークの職場でのセクハラ問題を研究し、その多くが裁判ではなく、職場で秘密保持契約を交わすことによって期間の制限なく永久に表に出ることなく終了していたことが分かりました。

セクハラ問題が内密に済まされてしまうと、職場や社会はそこから教訓を得ることができなくなり、他にも同様のセクハラ問題が隠されていたかもしれないにもかかわらず、それらの関連するセクハラは、隠蔽されたままとなってしまいます。

コペンハーゲン大学心理学研究所のミレ・モーテンセン研究員は、セクハラ問題に際して秘密保持契約を交わすことは、セクハラの当事者の心理状態にも大きな影響を及ぼすと述べます。

「どの心理学の本の１ページ目にも、人生において暴力的な扱いを受けた場合には、その問題に対処していくということが人生をそこから先に進めていく唯一の方法となります。対処が足りなければ、それだけ孤独と恥の感情が高まってしまいます。」

ミレ氏は更に、「私がセクハラの問題に対応してから20年間、職場で自分が対処できる限界を超えた出来事やその他の難しい問題に対して、口を開いたことで心を病んだという人は、その方法が適切なものであったなら、見たことがありません。しかし反対に、話せなかった為に病気になってしまったという人を多くみてきました。その秘密を誰にも話せないということは、その問題に誰も何も対応することが出来ないことを意味し、当事者の残りの人生全てに影響を及ぼします。」と述べます。

労働組合HKのマリア・ラスムセン弁護士は、セクハラ問題を隠蔽しようとするのは、ほとんどが雇用者であると述べます。「私の弁護士としての経験では、秘密保持を合意条件に含めようとするのは、常に会社の方です。それによって会社にとっては、この案件が完了したことになります。セクハラ問題を調停する為には、以前は秘密保持契約を受け入れるしかなかったのです。」

労働組合HKの民間企業の雇用者の為の支部であるHKプリベートの副部長アニヤ・イェンセン氏は、HKはセクハラ問題における秘密保持契約の問題を認識しており、秘密保持契約を避ける努力をしてきたと述べます。「セクハラ問題における秘密保持契約は、交わした後で後悔することが多く、一生の心の傷となるので、誰にも交わさせたくないと思っています。しかし、場合によっては、当事者自身が秘密保持契約を望むことがあり、その場合には、当事者の意向に従うよりほかないのが現状です。」

そんな時には、HKは、秘密保持契約の代わりに、匿名保持契約を交わすよう説得するようにしています。これは、自身が経験させられた話をすることができる権利は有するが、その企業やセクハラを強要した人が特定できるような情報は与えないというものです。

痛みを感じる出来事については、誰もが話せるようにする必要があるとHKのアニヤ氏は述べます。

秘密保持契約の代わりに匿名保持契約を交わすことに関しては、料理人やウェイターを組合員に有するデンマーク最大の労働組合３Fも、事態に慎重にすることを条件として、それが組合員の為になる場合にはよしとしています。

法律や経済の専門家を組合員に有する、従って組合員の多くがオフィスで働く労働組合デュフも、同様の意見を有しています。デュフの交渉担当長メッテクヌドセン氏は、「当事者である組合員自身が、匿名保持契約や秘密保持契約を合意事項に含めることが最良と望むなら、否定はしていません。秘密保持契約は雇用者が問題を隠蔽できるので特になりますが、同時に、合意を結ぶ当事者にとっても、それがとても大きな経済的補償をもたらす場合には、有利と成り得ます。」と述べます。

デンマーク雇用者協会の副事務局長パニーレ・クヌドセン氏は、秘密保持契約は両者にとって利益をもたらす良い解決策に成り得ると述べます。「個々のセクハラ案件の状況に応じて、秘密保持契約は妥当な解決法になり得ると考えています。例えばセクハラ被害者が事件を公にしたくない場合などです。」

多くは雇用者側が、秘密保持契約を結びたがるのではないかという問いに対しては、パニーレ氏は、「個々のセクハラ案件には、様々な複雑なテーマが絡み合っていることがあると思います。」と答えます。

更に、秘密保持契約にサインする当事者は、その時点でその後の人生にその署名が何を意味するか把握していないのではないかという問いに対しては、「長期的な影響が生じる可能性があることは認識していますが、同時に、誰もがそのセクハラ問題について知ることになることの影響もあると思います。」と述べます。

雇用者側が何が起こったのかを隠蔽しようとしてこうした秘密保持契約に関する条項を調停内容に取り入れるのではないかという問いに対しては、「そういった可能性は否定できないが、個々のセクハラ問題に対して秘密保持契約を結ばせたからといって、企業文化を長期的に健全なものにするという責任を雇用者は持ち続けます。そこに個々の秘密保持契約の有無は影響しません。」と述べています。

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北欧の福祉や環境政策、さらには心地良いを意味するヒュッゲで知られるデンマーク。

国民みな共働きでワークライフバランス重視の考え方、生き方の、実際どうなの？を、

2003年からデンマークに在住の公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーター＆主婦で３人の母親の、

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