デンマークで増える、20代前半の女性の自殺

北欧デンマーク通信

デンマークの教育や生活、働き方、制度やデンマーク人の考え方について

こんにちは！デンマーク公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーターのウィンザー庸子です。

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デンマークの人口は約580万人で、これは兵庫県の人口規模とほぼ同じとなっています。ちなみに、コペンハーゲン市の人口は市内が約65万人、市外の住宅地なども入れたコペンハーゲン圏では約130万人で、これは神戸市の人口規模に匹敵します。国土の大きさは九州くらいです。

我が家には、デンマーク人の主人、デンマーク人でもあり日本人でもある、中学校1年生と、4年生の男子2人と、1歳のちょうどお誕生日の日から保育園に入った3歳の女子1人と、日本人の私がいます。

そこで私たちがデンマークで生活する中で感じる、デンマークの教育や、仕事や、生活や制度、デンマーク人の考え方について、お話したいと思います。

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デンマークで増える、20代前半の女性の自殺

2020年デンマークは悲しい記録を更新してしまいました。

20歳-24歳の女性の自殺者数が、著しく増えてしまったのです。

デンマーク保健庁によると、2020年に自殺した20歳-24歳の女性は17人に上りました。過去20年間20歳-24歳の女性の自殺者数は9人を超えたことがありませんでした。

オーフス大学病院の自殺予防課長であるヤン-ヘンリック・ウィンスルー臨床心理士は、この傾向を非常に懸念していると述べます。

デンマーク全体の自殺者数は年間約600名と、1990年比で半数に減少していますが、20歳-24歳の女性の間で急激に増えています。

20歳-24歳の女性の自殺者数は、2018年3人、2019年5人と、非常に低く抑えられていました。それが2020年に17人まで上がってしまったのことの説明は、まだ明確にはできませんが、上述のヤン-ヘンリック氏は、専門家の見解として、自殺率上昇の背景を次のように述べています。

「この年代は、非常に大きな社会的プレッシャーを受けている、難しい年代グループです。彼らは仕事と高等教育を始めたばかりで、うまくこなすことが周囲からも要請され、自分自身もうまくやりたいと願います。また、ソーシャルメディアが、巨大な力で彼らを他の人と比較させ、自分自身を否定的な切り口で見させます。」

20歳-24歳の女性で自ら死を遂げる人の数は、著しく増えているとは言っても、この年代の女性の人口はデンマーク統計局の発表によると約18万人ですので、全体から比べると、比較的まだ低いと言えます。

しかし、自殺を試みた人数になると、この年代の数字が跳ね上がります。デンマーク自殺研究センターの調べによると、20-24歳の女性で自殺を試みた人数は、その他の人に比べて2倍以上となっています。

23歳のリッケ・ブリンク氏は、自殺を試みたことがある20-24歳女性の一人です。

リッケ氏は14歳の時に児童養育施設に保護されてから、100回以上も自傷行為で入院しました。更に、自殺を試みたことも複数回あります。

リッケ氏は現在、精神疾患を持つ成人の為の共同住居で生活しています。

リッケ氏は自殺者が増加している年代と性別のグループに属していますが、リッケ氏が自殺を試みたのは何年も前のことです。

リッケ氏は、児童養育施設から成人の為の共同住居に移ったことが、自分の成長にとって大きな助けとなったと評しています。

「私はあの頃非常に不安定で、自己破壊的でした。沢山の自殺願望があり、自傷行為をしていました。自分の人生で最も傷つきやすい時期でした。成人の為の共同住居には、私が難しい思いをしてきたことを分かってくれる人が周りにいました。私がもう生きたくないと言えば、彼らは、対処できないとパニックになる代わりに、今私にとってそれほどに難しいことは何なのかと尋ねてくれました。実際多くの場合、私は本当に死にたいと思っていたというよりも、痛みから逃れたいと思っていたのですから。」

それでも、リッケ氏は、近年のコロナロックダウンが自分にとって否定的に作用していることを感じています。その為、より多くの同じ年代の女性が2020年に自殺を選んだと聞いても驚きません。

「コロナのせいで、特に私達若い人達にとって非常に難しい年でした。私達は一人ぼっちにおかれました。私の診療も休止となり、電話に置き換えられました。悲しい時にも、ハグしてもらえることはありません。皆と大きな間隔を空けなくてはなりませんから。ですから、いいえ、その数字には驚きません。」と強調します。

デンマーク自殺予防研究所アネッテ・エアラングセン上級研究員兼プログラムリーダーは、自殺者数の増加を今後繰り返さない為には、自殺者数に即時的に注視し、その背景にある理由を現在よりももっと早く見つけ出す必要があると言います。

現状でｈは、自殺理由は、自殺が発生してから1年半の後に記録されます。例えば2020年の最終的な自殺者に関する情報は、2021年12月にやっと集まります。

上述のアネッテ氏は、「私達は随時、女性達がどんな方法を使ったのか知りたいと願っています。そうすれば、例えばソーシャルメディアで広まっている新たな自殺傾向を抑止することが出来ます。」と述べます。

こうした情報は、上述のオーフス大学病院ヤン-ヘンリック氏の仕事も容易にします。

「私達が持っている情報がわずかなことが懸念されます。なぜなら、自殺の増加が例えばソーシャルメディアで新しい自殺の方法が流布されていることに起因するのか、またはコロナ感染防止のための制限によって引き起こされているのか、といったことが分からないのです。自殺を予防する為には、若い女性のが自殺に至る背景と、理由をもっと早く知る必要があります。」

また、上述のリッケ氏、および2人の専門家は、自殺者数の増加を防ぐ為のもう一つの方法は、自殺についてオープンに話し合うことだと述べます。

自殺をタブー視することと、黙示することは、自殺願望がある人に更に自分は間違っていると思わせる危険があると上述のヤン-ヘンリック氏は説明します。

「自殺願望があるとに話しかけ、なぜそんなに難しい思いを抱えているかを尋ね、理解しようと努め、誰もが潜在的に自殺願望を持つに至る可能性があることを知る必要があります。人が自殺願望を持つ時には、あまりにも悲しくなりすぎるのではなく、自殺によって苦しみから逃れることを望んでいるのです。人生が難しいと感じられる時に、自殺がタブーでなくなればそれだけ、自殺願望がある人は、あくまでも多くの反応の一つとして自殺願望に対応できるようになるのです。」

正にこのアドバイスが、上述のリッケ氏を自信の自殺願望や自傷行為から救ったのでした。彼女は、自分の経験が他の人が自殺願望に触れることに対する恐怖をなくすことに役立つことを願っています。

「自殺願望を持っているのではないかと思う人がそばにいる場合には、話しかけて、その難しさに関して共に会話を持ってください。こうした場合の会話で、私は間違った質問というのを受けたことがありません。」

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北欧デンマーク通信　

北欧の福祉や環境政策、さらには心地良いを意味するヒュッゲで知られるデンマーク。

国民みな共働きでワークライフバランス重視の考え方、生き方の、実際どうなの？を、

2003年からデンマークに在住の公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーター＆主婦で３人の母親の、

ウィンザー庸子がお伝えします。

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