デンマークで社会的弱者の家庭の若者とシュガーデートの問題

北欧デンマーク通信

デンマークの教育や生活、働き方、制度やデンマーク人の考え方について

こんにちは！デンマーク公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーターのウィンザー庸子です。

北欧デンマークで私が見聞きすること、感じることをお話しています。

最新情報をメールでお届けしています。

また、現地在住ガイドが、本当は教えたくない(？！)とっておきのデンマーク・コペンハーゲンの穴場スポット「コペンハーゲン裏スポット30」も無料ご送付しております！

よろしければ是非、こちらからご登録下さい。

www.hokuoryoko.com

***************

デンマークの人口は約580万人で、これは兵庫県の人口規模とほぼ同じとなっています。ちなみに、コペンハーゲン市の人口は市内が約65万人、市外の住宅地なども入れたコペンハーゲン圏では約130万人で、これは神戸市の人口規模に匹敵します。国土の大きさは九州くらいです。

我が家には、デンマーク人の主人、デンマーク人でもあり日本人でもある、中学校1年生と、4年生の男子2人と、1歳のちょうどお誕生日の日から保育園に入った3歳の女子1人と、日本人の私がいます。

そこで私たちがデンマークで生活する中で感じる、デンマークの教育や、仕事や、生活や制度、デンマーク人の考え方について、お話したいと思います。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

デンマークで社会的弱者の家庭の若者とシュガーデートの問題

NGO若者の家のギュダ・ヘルディング代表は、コロナ禍において、シュガーデートを始めたという若者の数が急激に増えていると感じています。街に出て、普通の方法で出会うことが出来なくなり、シュガーデートへの需要が高まっている為です。

更に、レストランやバーが閉まっていることで、個人宅に行かねばならないことになる為、シュガーデートをする若者にはより大きな危険が迫っているとギュテ所長は述べます。

デンマークでは15歳以上の人が15歳未満の若者とセックスをするのは違法です。更に、18歳未満の若者からセックスを買ったり、18歳未満の若者がセックスを売ろうとするのを共助するのも違法です。

デンマーク社会福祉提供者協会LOSのラウスト・ウェストフト政治部門長は、ここ数年でより多くの社会的弱者の家庭の若者が、物質的な見返りの為に、性的なサービスを提供するようになってきていると述べます。

ＮＧＯ若者から若者へのヤニック・ドブズ代表は、性的サービスをプレゼントや麻薬や金銭と交換する若者は、難しい状況にあることが多いと述べます。「彼らはシュガーデートを非常口のようにに使い、関心やお金を集める為の手っ取り早い手段と捉えています。」

上述のギュダ氏は、簡単に手に入るお金が、若者をシュガーデートに誘っていると述べます。「社会的弱者の家庭に育つ若者は、周りと比べて我慢することに慣れていることが多いです。それが突然、他の子と同じ靴やバッグを買えるようになるというのは、彼らにとって大きな意味を持つのです。」

しかしギュダ氏は、お金が若者を、自分の境界線を越えてしまう危険を生んでいると述べます。「多くの若者が、『自分はどうせ街の半分の人と寝るんだから、どうせならお金をもらった方がいい。』と言うのを聞きました。しかし、権力が介在する関係に足を突っ込むのは、お金を払う人が決定権を持つこととなり、全く別のことなのです。自分が予想していなかったことに拘ってしまう危険性があるのです。」

更に、22名の社会的弱者の家庭に育った若者が住む共同生活施設ヴェクストフセット・イ・ロイストゥアのクリス・ヘンドリクセン所長は、性的なまたは親密な行為をお金のように使ってしまうと、自分自身に対する価値を汚すこととなると懸念します。

「月の後半お金が足りなかったり煙草がなくなってしまったりすると、裸の写真を送ったり、経口セックスをして稼ごうという気になります。自分の価値を下げてしまうのです。若者たちはその前から社会的に難しい状況に置かれています。その為、行動がもたらす結果が他の若者に比べて見えていないことがあります。しかし、もし自分がしたことが後に悪く影響を与えるとなると、若者の状況はさらに悪くなってしまいます。」

シュガーデートは社会的弱者の家庭に育った若者だけに起こっていることではありません。しかし、NGOセックスと社会のビヤーネ・B・クリステンセン事務局長は、シュガーデートは、特に社会的弱者の家庭に育った若者に特に大きな危険を及ぼすと懸念します。

「精神的な問題を抱えていたり、暴力にさらされてきた等、既に難しい状況に置かれている場合、シュガーデート等にかかわって搾取されないことが重要です。」

しかし、若者にとっても、専門家にとっても、シュガーデートの問題に関して話し合うことは簡単ではありません。上述の社会福祉協会ラウスト政治部門長は、シュガーデートに対する認識に、若者と専門家の間で大きな相違があると述べます。

上述の共同生活施設ヴェクストフセットのクリス所長も、「若者自身は、問題だと思っていません。その為、私達職員が説得するのは難しいのです。何が『普通』であるのかに関して若者と共通の認識を持つには、長い時間がかかります。」

上述のNGO若者から若者へのヤニック代表も、若者がシュガーデートで受けるマイナスの影響を捉えるのは難しいと述べます。「若者は私達にシュガーデートに関して話してきたりはしません。シュガーデートは素晴らしいと思っているからです。ちょっと境界線を越えてしまったと思った時に、私達に連絡してくることがあります。」

NGO若者の家のギュテ代表は、自分がその渦中にいることに対して後悔するのはとても難しいことだと述べます。その為、ギュテ氏は、シュガーデートに関して若者と話す時には、遠慮なく、『絶対やめた方がいい。』と言っています。

NGO若者を助けようとNGO若者から若者へは、なぜ若者がシュガーデートの道に走ってしまうのか聞いてみることにしました。その結果、多くの若者が、必要な時には助けを求めたいと思っていることが分かりました。

NGO若者を助けようのユリエ・ヨーキムス・エンゲルブレクトセン氏は、「まずは、若者が助けを求めているが何かを捉えます。若者は、決めつけらるのではなく聞いてくれる人を欲しているのです。」と述べます。

デンマーク社会福祉協会とボランティア社会機構クヴィステンは、特に全国の入居施設又は滞在施設に属する社会的弱者の家庭の若者の、シュガーデートと売春のグレーゾーンの兆候を見つけ出し、対応するための職員の教育を始めました。

上述のデンマーク社会福祉協会ラウスト政治部門長は、これまでに社会的弱者の若者が属する全国の入居・滞在施設から70名の職員が教育に参加し、シュガーデートの問題に効果的に対応する為のツールを得たという感想を得ていると述べます。

更に、ラウスト政治部門長は、シュガーデートに引導する、またはシュガーデートを提供するサイトの禁止を政府に求めています。「社会的弱者や傷つきやすいグループを不公平な権力関係に直接誘引する公のメディアをなくすべきです。」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

北欧デンマーク通信　

北欧の福祉や環境政策、さらには心地良いを意味するヒュッゲで知られるデンマーク。

国民みな共働きでワークライフバランス重視の考え方、生き方の、実際どうなの？を、

2003年からデンマークに在住の公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーター＆主婦で３人の母親の、

ウィンザー庸子がお伝えします。