デンマークで起こった、コロナワクチン接種の順番に関する不公平感

北欧デンマーク通信

デンマークの教育や生活、働き方、制度やデンマーク人の考え方について

こんにちは！デンマーク公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーターのウィンザー庸子です。

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デンマークの人口は約580万人で、これは兵庫県の人口規模とほぼ同じとなっています。ちなみに、コペンハーゲン市の人口は市内が約65万人、市外の住宅地なども入れたコペンハーゲン圏では約130万人で、これは神戸市の人口規模に匹敵します。国土の大きさは九州くらいです。

我が家には、デンマーク人の主人、デンマーク人でもあり日本人でもある、中学校1年生と、4年生の男子2人と、1歳のちょうどお誕生日の日から保育園に入った3歳の女子1人と、日本人の私がいます。

そこで私たちがデンマークで生活する中で感じる、デンマークの教育や、仕事や、生活や制度、デンマーク人の考え方について、お話したいと思います。

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デンマークで起こった、コロナワクチン接種の順番に関する不公平感

デンマークでは、コロナワクチン接種の順番に関して、今は解消されていますが、一時期不均衡が生じていました。

オーフス大学病院の看護師であるパニーレ・ダウセル・クレメンセン氏は、2021年2月10日時点で、まだコロナワクチンを接種していませんでした。パニーレ氏は通常は癌やその他の疾患を患う小児患者さんを担当していますが、その翌週重篤なコロナ患者さんの為の集中治療室の担当となることになっていました。

パニーレ氏は、他の多くのデンマーク人同様、1年近くも生活や仕事に影響を与えてきたコロナウィルスに対して、ワクチンを接種できる日を待ち望んでいましたが、実際に接種の順番が来るのには長い時間がかかりました。

というのも、医療従事者がいつコロナワクチンを接種できるのかは、どこで働いているかに依拠していたのです。例えば、ユトランド半島中部にあり、デンマーク第2の都市であるオーフス大学病院では、2021年2月10時点で、医療従事者の22.3%がコロナワクチンの第1回目を接種していました（接種は間隔を空けて2回）。同じ時期に、シェラン島南部にあるシェラン島大学病院では、医療従事者の72.9%がコロナワクチンの第一回目を接種していました。

デンマーク国営放送の調査では、同時期に、オーフス大学病院では22.3%、オーデンセ大学病院では40%、ヘアレウ・ゲントフテ病院では22.3%、シェラン島大学病院では72.9%の医療従事者が少なくとも第一回のコロナワクチン接種を終えているという結果が得られており、かなりの地域差が生じていました。

パニーレ氏は、仕事を通じて自分が感染するリスク、そしてそれを家族に移してしまうリスクを鑑み、夫と子供以外には会わないことを決めました。「ユトランド西部に住む母には会っていません。毎週水曜日にコロナ検査を受けていますが、金曜日に感染したかもしれませんので、日曜日に母に会うことはできないのです。電話では話していますが、会えないのは私たちにとって辛いことです。友達にも会っていません。接触機会を増やしてしまうことは、私が担当する患者さんにも、友達にも望ましくないことだと思うからです。」

パニーレ氏が通常担当している癌やその他の疾患を患う小児患者さん達は、病院に来る際に、コロナテストを受けていません。従って、潜在的なコロナキャリアと成り得ます。保護対策は取りますが、医療用マスクをするのはあくまでの患者さんに移さない為であり、患者さんから感染する可能性はあり得ます。看護の仕事を遂行する為には、患者さんに近づく必要がある為です。

更に2月からパニーレ氏が担当しているコロナ患者さんの為の集中治療室では、パニーレ氏がコロナワクチンを接種していないにもかかわらず、コロナ患者さんの看護をしなくてはなりませんでした。パニーレ氏は、不安と不公平感を感じずにはいられませんでした。「地域差が生じているのが信じられません。シェラン島県では72%が接種しているということは、その全員がコロナ患者さん対応の前線に立っているわけではないと思います。」

シェラン島大学病院では、医師や看護師だけでなく、通常オフィスで仕事をしている病院長にもコロナワクチンを接種することを決定しました。シェラン島大学病院の説明では、英国変異種の第3波が来る可能性を鑑み、職員を守ることが重要だとしています。

パニーレ氏は、オーフス大学病院長が最良の方法でコロナワクチンを割り当て、最前線に立つ医療従事者を最優先していることを確信していますが、中央政府がコロナワクチンを公平に割り当てていたかに関しては、懐疑的な見方をしています。「コロナワクチンを必要としている私に届かないという事実から、私を守るべき人達から不公平な扱いをされていると感じています。」

オーフス大学病院が属するユトランド中部県の県評議会議長であるアナス・クーナウ氏もパニーレ氏の批判に同調していました。「パニーレ氏の思いに同意します。保健庁は優先順位の決め方を間違えていると思います。前線に立つ医療従事者を最優先すべきなのにしていません。しかし私たち県評議会は保健庁が決めた方針に従うほかないのです。」

アナス氏は、ユトランド中部県に配布されたコロナワクチンの数は、人口に比して少ないものではなかったが、高齢者が優先された為に、医療従事者にいきわたっていない状況があると説明していました。県評議会は保健庁に意見を提出し、コロナワクチン割り当て方法の改善を要請しました。保健庁から指示されたコロナ対策を遵守したからこの県の感染率が抑えられたのに、その他の県は感染率が高くなりすぎたということで、コロナワクチンがこの県に行き渡らないのには不公平を感じるとアナス氏は述べていました。

保健庁部門長であり医師長でもあるボレッテ・スボー氏は、2月10日時点で、あと数週間の内に、病院間でのコロナワクチンの割り当ての不均衡は是正されると強調しました。

更に、それまでに生じた不均衡は、各所でコロナワクチンをどのように割り当てるかの戦略が様々な方法で選択されたことに起因すると話しました。今まで通り高齢者と重篤化の危険を抱える方が最優先で接種の対象となり、その後コロナ治療の最前線に立つ医療従事者が接種対象となると説明しました。

実際に、3月以降医療従者間でのワクチン接種の順番の不均衡は是正され、医療従事者のワクチン接種は完了し、デンマークが8月には、16歳以上の希望する市民の接種を完了する見込みです。

しかし、日本でも見られたワクチン接種の進行状況の地域差や不公平感はデンマークもたどった道であり、コロナへの対応はどこでも試行錯誤であったということが言えます。

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北欧の福祉や環境政策、さらには心地良いを意味するヒュッゲで知られるデンマーク。

国民みな共働きでワークライフバランス重視の考え方、生き方の、実際どうなの？を、

2003年からデンマークに在住の公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーター＆主婦で３人の母親の、

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