コロナ禍で株取引に目覚めたデンマークの若者

北欧デンマーク通信

デンマークの教育や生活、働き方、制度やデンマーク人の考え方について

こんにちは！デンマーク公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーターのウィンザー庸子です。

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デンマークの人口は約580万人で、これは兵庫県の人口規模とほぼ同じとなっています。ちなみに、コペンハーゲン市の人口は市内が約65万人、市外の住宅地なども入れたコペンハーゲン圏では約130万人で、これは神戸市の人口規模に匹敵します。国土の大きさは九州くらいです。

我が家には、デンマーク人の主人、デンマーク人でもあり日本人でもある、中学校1年生と、4年生の男子2人と、1歳のちょうどお誕生日の日から保育園に入った3歳の女子1人と、日本人の私がいます。

そこで私たちがデンマークで生活する中で感じる、デンマークの教育や、仕事や、生活や制度、デンマーク人の考え方について、お話したいと思います。

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コロナ禍で株取引に目覚めたデンマークの若者

デンマーク評価協会EVAの調査によると、2018年デンマークの若者の84%が、高校を卒業した後、大学を始めとする専門教育機関に入学する前に、1年間または数年間のギャップ

イヤーを取ります。

ギャップイヤーを取る若者の多くは、バックパッカーとなって鉄道で欧州を回ったり、世界中を旅したり、その為の資金を貯める為に、会社の庶務員や保育士補佐として保育園に勤務したり、寄宿制で民主主義と芸術やスポーツなど自分の関心を追求する国民高等学校で資格の為ではない学びの時間を取ったりと、学校ではできなかった経験をし、人生や進路への希望を明確にしてから、それを叶える為に専門教育機関に入ります。

デンマークで育った日本人とデンマーク人の両親を持つ若者からは、このギャップイヤー中に日本に来て、外国人の来訪の多いニセコのスキー場や住み込みのアルバイトをしたり、おばあさんのお家に滞在して地元企業でアルバイトをしたり、日本中を旅して、自分のルーツの一部でもある日本の文化を学んでからデンマークに戻って大学に入ったという話もよく聞きます。

しかし2020年は、コロナ感染拡大の為に、ギャップイヤーを取った若者の予定が大きく変わってしまいました。

ギャップイヤーを取って、保育士補佐として働くラッセ・エルボ・トーロップ君は、コロナ感染拡大を受けて、旅行に行く予定をキャンセルしなければならず、楽しいイベントなどが何もなくなってしまう中、家で突然お金と時間が余ることとなってしまいました。

そんな時、ラッセ君は、友達から株を買うことを勧められました。ラッセ君は、趣味として、株への投資を始めました。ラッセ君のように、2020年コロナ禍で実は多くの若者がオンラインでの株取引を始めています。

オンライン銀行であるノーネットでは、2020年の新規顧客の半数近くが、30歳未満でした。日本にも支社があるサクソ銀行では新規顧客の41.5%が30歳未満、ルナー銀行では新規顧客の69%が30歳未満でした。

ノーネットのデンマーク支社長アンネ・ブシャート氏は、スマートフォンで株取引が直接簡単にできるようになったことが、若者を株取引に惹きつける要因となったと評価しています。

また、デンマークではマイナス金利が続き、普通預金しているだけでは資産が目減りしてしまうこと、多くの人がお金の使い道をなくしてしまったことも要因として挙げます。

デンマークでは、次年度の休暇期間に支払われる休暇資金が毎月の給与から源泉徴収されて積み立てられます。2020年の休暇資金が支払われた時、コロナ感染拡大で旅行にも映画にも行けなくなってしまった中で、お金と時間が余ってしまい、株取引を始める人の増加につながったと、アンネ氏は分析しています。

また、2020年株取引を行ったのは、若者に限りませんでした。2020年VPセキュリティーに登録した、言い換えればデンマーク株の取引をした人の数は、2019年比で84%も増加しています。

年齢別にみると、0-19歳で112%、20-29歳で178%、30-39歳で138%、40-49歳で108%、50-59歳で89%、60歳以上で55%増加しています。特に若い世代の間で、株取引をする人が増えていることが分かります。

上述のラッセ君は、45000クローネ（約78万円）を株に投資して、55000クローネ（約95万円）に増やしました。コロナがなかったら、投資は始めていなかったとラッセ君は述べます。「毎日株価の変化を追うのは楽しいです。株価が緑色になっているのを見ると嬉しいです。」

保育士補佐として働いていない余暇時間に、ラッセ君は1日2時間位、新聞を読んだり、投資を検討している企業の業績を調べたりしています。「働くのとは異なるお金の稼ぎ方です。投資で生活できるとは思っていませんが、銀行口座に入れっぱなしにしておくよりは、株に投資した方が見返りがあると思います。」

コペンハーゲン商科大学のステフェン・アナセン教授は、若者が株取引に関心を持つのは喜ばしいことだと述べます。「年を重ねた時により大きな決断をしなければならなくなるであろう市場を知る良い機会となります。若い時に少額で投資をして、増える時もあれば減る時もあることを知ることができます。」

ラッセ君は、自分の投資は今までの所うまく行っていますが、これが逆に転じる可能性もあるということを分かっています。「失っても生活できるだけの額を投資しています。ゼロとなる可能性は非常に低く、今までの所大きな利益を得ています。」

ダンスケ銀行の投資ストラテジストであるラース・スコウゴー・アナセン氏は、若者が株取引に関心を持つのはいいことであるという意見に同意しますが、市場に参加するということの意味を分かっていればという条件が付くと述べます。「例えば全ての資金を一社の株だけに投資したとしたら、その資金を全て失う可能性が高くなります。」

2020年に株取引を始めた人の多くは、アプリの画面上で緑色の株価しか見たことがありません。現在株価全体が上昇傾向にあるからです。しかし、世界経済が上がったり下がったりすることを覚悟しておくことが重要であるとラース氏は強調します。

それでもなお、前述のラッセ君は、持っている貯金からより多くの資金を投資したいと考えています。「5万クローネ（約86万円）しか持っていなかったら、利益を得るための手段は株しかありません。5万クローネでは、不動産投資をして利益を得ることはできませんから。」

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北欧の福祉や環境政策、さらには心地良いを意味するヒュッゲで知られるデンマーク。

国民みな共働きでワークライフバランス重視の考え方、生き方の、実際どうなの？を、

2003年からデンマークに在住の公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーター＆主婦で３人の母親の、

ウィンザー庸子がお伝えします。

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