北欧デンマーク通信
デンマークの教育や生活、働き方、制度やデンマーク人の考え方について
こんにちは!デンマーク公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーターのウィンザー庸子です。
北欧デンマークで私が見聞きすること、感じることをお話しています。
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デンマークの人口は約580万人で、これは兵庫県の人口規模とほぼ同じとなっています。ちなみに、コペンハーゲン市の人口は市内が約65万人、市外の住宅地なども入れたコペンハーゲン圏では約130万人で、これは神戸市の人口規模に匹敵します。国土の大きさは九州くらいです。
我が家には、デンマーク人の主人、デンマーク人でもあり日本人でもある、中学校1年生と、4年生の男子2人と、1歳のちょうどお誕生日の日から保育園に入った3歳の女子1人と、日本人の私がいます。
そこで私たちがデンマークで生活する中で感じる、デンマークの教育や、仕事や、生活や制度、デンマーク人の考え方について、お話したいと思います。
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デンマークで不登校児に対する対応
私はデンマークに来てから時々、「ひきこもり」という人がいるのかとデンマーク人に聞かれて、びっくりしたことがありました。
デンマークのテレビ番組で、日本のひきこもりの問題が取り上げられたそうで、デンマークでは考えられないことなので、デンマーク人は驚いたそうです。
デンマークでは18歳になると親の扶養義務は終了すると公的にも人々の意識の中でも考えられているので、日本のように成人した子供を養うということはしません。家計も別となります。
実際には、親が買ったアパートに住んだり、子供に多少の経済的援助をする親は沢山いますが。。。
そんな訳で、もし成人した子供が何らかの理由で働けなくなったら、その子供を養い、同時に社会復帰への支援をする義務があるのは親ではなく、市役所の福祉課ということになります。
その代わり、デンマークでは、いざという時に社会が必要な人に必要な支援ができるよう、所得税は所得の半分から70%を取っていきますし、消費税は25%と、高福祉を支える為に税金が高負担でもあります。
そんなことを聞いていたので、私はデンマークには不登校児もいないのかと思っていました。
受験勉強のストレスもないので、デンマークの子供はのんびり伸び伸び成長してゆき、いじめなどもあまり陰湿にならず、学校に行きたくない、学校に行けない、という事態も発生しないのかと思っていました。
しかし、その認識はどうも表層的なものだったことに今気付きました。
2021年はデンマークで4年に一度の地方選挙が全国的に行われる年で、10月後半の選挙活動の解禁と共に、あちこちに候補者のポスターが貼られ、メディアでは各党の公約が語られるようになりました。
その際に、大きな問題として取り上げられているテーマは、なんと私はデンマークにはあまりないのかなと思っていた、不登校の問題でした。
2012年にインクルージョンという政策が教育法の改正によって取り入れられ、2015年から施行されました。これは、できるだけ多くの生徒が普通学校の普通学級に通えるよう、補助教員を付けたり、生徒のニーズに合わせて補講授業を提供したりして、普通学級の対応範囲を広げ、従来普通学校に設けられていた特別支援学級を廃止するという政策でした。
インクルージョンによって、従来ならば特別支援学級でいわば特別視された教育を受けなければならなかった、軽度の自閉症などを持つ生徒が、普通学級で多様な個性の一つとして受け入れられ、高等教育や専門教育を受ける準備ができるようになったという利点は確かにありました。
しかし同時に、施行から6年が経った今、その弊害も指摘されるようになったのです。
学校に馴染めず、学校に行けなくなってしまう、不登校児が増えてしまったのでした。
そしてその多くは、軽度のADHDや自閉症、学習障害などを抱えた児童でした。
デンマークがインクルージョンの政策を進めた背景には、特別支援学校に通う生徒の費用は、普通学校に通う生徒の費用の3-4倍かかるという経済的な側面があったことは否めません。
不登校となった生徒は、学習を継続することも、友達と社会的な活動をすることも、できなくなってしまいます。
不登校となった生徒には、PPRという児童心理機関が市と協働で、その生徒が必要とする心理カウンセリングや、保育園や学校での支援体制を築くのですが、居住する市によって、その予算や内容や動き出してくれるタイミングに差があることが問題視されています。
デンマークでは男女共にほとんどの大人が、専門技能を身に着ける為の学校に通っているか、または仕事をしているので、子供が不登校となってしまうと、親が仕事を辞めなければならない事態も発生してしまいます。
実は、私も知らなかったのですが、デンマークには、子供が長期に渡る病気や障害や不登校を抱えて一定期間働けなくなってしまった親に、その期間、市が、雇用者に代わって、就労不可になってしまった時間の補填をするという制度があります。この制度には、欠勤による解雇を防ぎ、雇用者の負担を軽くする意図があります。
この就労不可時間の補填制度による費用は、2017年から年々増え続けています。そして、取得者の3分の1が母親であることが分かっています。
デンマークでは、高齢化社会が進む中で福祉の効率化を進めて費用を削減しながらも、多様な個性を持つ児童の能力をそのニーズに合わせて支援する教育制度を構築すべく、様々な努力が続けられていますが、その制度の狭間で苦しんでいる児童や家庭があることも、また事実です。
2021年の地方選挙の焦点の一つになったほど、今デンマークではこの問題が深刻視されています。
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北欧デンマーク通信
北欧の福祉や環境政策、さらには心地良いを意味するヒュッゲで知られるデンマーク。
国民みな共働きでワークライフバランス重視の考え方、生き方の、実際どうなの?を、
2003年からデンマークに在住の公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーター&主婦で3人の母親の、
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