デンマークでDNA判定の間違いによって誤った人が逮捕された問題

北欧デンマーク通信

デンマークの教育や生活、働き方、制度やデンマーク人の考え方について

こんにちは！デンマーク公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーターのウィンザー庸子です。

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デンマークの人口は約580万人で、これは兵庫県の人口規模とほぼ同じとなっています。ちなみに、コペンハーゲン市の人口は市内が約65万人、市外の住宅地なども入れたコペンハーゲン圏では約130万人で、これは神戸市の人口規模に匹敵します。国土の大きさは九州くらいです。

我が家には、デンマーク人の主人、デンマーク人でもあり日本人でもある、中学校1年生と、4年生の男子2人と、1歳のちょうどお誕生日の日から保育園に入った3歳の女子1人と、日本人の私がいます。

そこで私たちがデンマークで生活する中で感じる、デンマークの教育や、仕事や、生活や制度、デンマーク人の考え方について、お話したいと思います。

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デンマークでDNA判定の間違いによって誤った人が逮捕された問題

2016年のある深夜1時、ヤコブ氏の玄関のベルが鳴り、警察官がヤコブ氏を取り押さえました。警察は理由を告げずに、ヤコブ氏を家から連れ出し、ベラホイ警察署の地下で、ヤコブ氏の写真と指紋を採取しました。

その時、7か月前にコペンハーゲン北西部で起きた窃盗に関して犯人の疑いがかけられているということを知りました。現場から採取したDNAがヤコブ氏のものと一致していた為でした。警察官は、ヤコブ氏が犯人だと言いました。

ヤコブ氏は実はそれ以前にも何度も警察にたたき起こされるという経験をしていました。ヤコブ氏はデンマークのギャンググループであるヘルス・エンジェルスの一員で、暴力や強盗で逮捕歴があり、事件の容疑者として目を付けられていたのです。

しかしその後ヤコブ氏は、現在の恋人に出会い、子供を持ち、犯罪から離れて、職人として普通の人生を送ることを決意していたのでした。

ヤコブ氏は、重大な問題が彼の身に降りかかっていることを知りました。DNA鑑定結果は、刑事事件の証拠として最も有力なので、疑義から身を守ることは事実上不可能です。

2016年の深夜に警察がヤコブ氏を取り押さえたのは、DNA登録に基づくものでした。DNA登録には、1年半以上の実刑判決に相当する犯罪の犯罪者または容疑者となった13万人のデンマーク人のDNA情報が集められています。そしてその一人がヤコブ氏でした。

DNA登録は、犯罪の容疑者を特定する為に使われます。犯罪の現場で警察は、現場に残された皮膚の赤やつばや血液や精子を採取します。そして証拠物は、法医学遺伝学部署に送られ、DNAが割り出されます。

現場に残されたDNAと、既存のDNA登録者のDNAが一致すると、DNA証拠となります。

コペンハーゲン北西部の窃盗事件では、現場に残されたDNAとヤコブ氏のDNAは、1対100万の割合で一致していました。これは、犯人がヤコブ氏である確率は、他の人である確率の100万倍高いことを示します。

ベラホイ警察署でヤコブ氏は、事件に関する自白を要請されましたが、否定し、家に戻ることを許されました。ヤコブ氏は、今後自分を事件の容疑者として取り押さえるならば、ヤコブ氏の弁護士を通じて連絡するように要請しました。

そしてそれは現実のものとなりました。警察は実際に2018年、地方裁判所にこの案件を申し立てたのです。

検察側は、DNA証拠の他に、2つの証拠を提出しました。証拠は一つでは立件できないからです。

一つはヤコブ氏が以前に刑罰受けているということでした。もう一つはヤコブ氏が事件のあった時刻に現場のそばにいたということでした。警察によると現場から1.7㎞の所にある、コペンハーゲン北西部のノアブロショッピングセンターのＨ＆Ｍで、支払いにデビットカードを使用していたのです。

ヤコブ氏は有罪となり、60日の実刑判決と、裁判の費用と、犠牲者の保険会社が算出した損失物の評価額10万クローネ（約179万円）を支払わなければならなくなりました。

ヤコブ氏は控訴しましたが、高等裁判所でも敗訴しました。

ヤコブ氏は自宅で足枷をして実刑期間を過ごさねばなりませんでした。足枷をしていない通常は、夜営業活動をして、もっと仕事をすることが出来ましたが、足枷がある為にできませんでした。また、いつものように息子と一緒に何かをすることも出来ませんでした。

2か月の実刑は実際長いものではないかもしれませんが、ヤコブ氏には永遠のように感じられました。無実の罪で拘束されたというフラストレーションが、溜まっていきました。

しかしヤコブ氏に足枷がはめられる前から、ヤコブ氏の弁護士キアエウテン・ムルゴー氏は動いていました。DNA鑑定に問題があったのではないかという疑念を持ち、新たにヤコブ氏のDNA鑑定を実施することを要請したのです。

なぜなら、警察が入手したヤコブ氏のDNAは、古いものでした。DNA鑑定の方式は、DNA鑑定が開始されてから7年後、つまりヤコブ氏が逮捕される1年前に変更されており、2019年中央警察は、容疑者のDNA情報が古い鑑定方法で採取されていた場合、新たなDNA鑑定をしなければならないことを決定していたのです。

ヤコブ氏のDNA鑑定が新たに行われ、その結果は現場に残されたDNAとは全く関係のないものでした。

しかし実は、ヤコブ氏に有罪判決が下される6週間前に、中央警察は、法医学遺伝学部署から、犯人を特定する上で、中央警察のDNA登録から古いDNA情報を持つ人が検出された場合には、その人に改めて新しい方式でDNAを採取することを提言していたのです。

それにもかかわらず、警察が古いDNA情報を新たな方式を用いて更新することを実施するのに1年もかかってしまい、その間にヤコブ氏は無実の罪で2度も実刑判決を受けなくてはならなかったのです。

新たなDNA鑑定結果がヤコブ氏のDNA証拠を覆した時、ヤコブ氏の弁護士は、中央弁護士協会にこの案件を再考することを要請し、中央弁護士協会は、ヤコブ氏の案件を再開する特別不服申し立てをするに至りました。

再開された案件において、ヤコブ氏の容疑の証拠は、事件当時ヤコブ氏や現場から1.7㎞の所にいたということだけです。しかし、ヤコブ氏が無実の罪で実刑判決を受けたということを裁判所が証明しても、ヤコブ氏の2か月は戻ってきませんし、職人としての個人事業もやめなければなりませんでした。

ヤコブ氏の無実が証明された後、中央弁護士協会と中央警察は、2012年以前にDNA鑑定結果が証拠として使われた12000件の刑事事件に関して、再調査をすることを決定しました。

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北欧の福祉や環境政策、さらには心地良いを意味するヒュッゲで知られるデンマーク。

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2003年からデンマークに在住の公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーター＆主婦で３人の母親の、

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