デンマークの農村地帯で歓迎される東欧からの移民

北欧デンマーク通信

デンマークの教育や生活、働き方、制度やデンマーク人の考え方について

こんにちは！デンマーク公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーターのウィンザー庸子です。

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デンマークの人口は約580万人で、これは兵庫県の人口規模とほぼ同じとなっています。ちなみに、コペンハーゲン市の人口は市内が約65万人、市外の住宅地なども入れたコペンハーゲン圏では約130万人で、これは神戸市の人口規模に匹敵します。国土の大きさは九州くらいです。

我が家には、デンマーク人の主人、デンマーク人でもあり日本人でもある、中学校1年生と、4年生の男子2人と、1歳のちょうどお誕生日の日から保育園に入った3歳の女子1人と、日本人の私がいます。

そこで私たちがデンマークで生活する中で感じる、デンマークの教育や、仕事や、生活や制度、デンマーク人の考え方について、お話したいと思います。

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デンマークの農村地帯で歓迎される東欧からの移民

リトアニア出身のジヴィレ・ノーキエネ氏は、8年前デンマークのユトランド半島にある人口1万4千人のヴァーデ市に移住しました。現在はヴァーデ市が主催する東欧からの移民を対象とした介護アシスタント職員養成コースに通っています。

ジヴィレ氏はリトアニアで洋裁師としての専門教育を受けましたが、昨年このコースを受講し始めるまでは、デンマークの個人宅で清掃の仕事をしていました。この仕事では、デンマークに馴染むのは難しかったとジヴィレ氏は語ります。

「掃除をするのは、家の人がいない時間でした。ですので、掃除の仕事では人と話すということがなく、デンマーク語を学ぶ機会がありませんでした。介護施設の方がずっといいです。人と話す機会があり、デンマーク語も上達します。」

このプロジェクトによって、ジヴィレ氏の家族がデンマークに定住するという見通しが見えてきています。

上述のヴァーデ市だけでなく、外国からの労働力の恩恵を受けている市が、デンマークには数多くあります。2020年9月に発表されたデンマーク統計局の分析結果によると、特に東欧からの移民によって、農村地帯での人口減少に歯止めがかかっています。

デンマーク国営放送の調査では、デンマークにある31市の農村地帯の内、13市が海外からの労働力を集めるまたは定住に導くことに焦点を置いていることが分かりました。

その13市の内の1市である上述のヴァーデ市は、2019年から介護職要請プロジェクトに着手しています。その背景には、東欧から来た出稼ぎに来ている移民の家族に、特に専門技能が欠けている為に開拓されていない人的資源が隠れていることが分かったことがありました。

夫婦の一方がデンマークで職を見つけて移住する際に、もう一方がデンマークの労働市場に入り込むことが難しかったのです。

ヴァーデ市のティーナ・エガーゴー社会福祉医療代表議員は、「専門技能を身に着け、労働市場の一員となることによって、出稼ぎに来ている移民がそれまでとは全く異なる形でデンマーク社会に融合できるようになります。これによって、出稼ぎにきた多くの移民が、家族と共にヴァーデ市に定住し、家を購入して、自らと子供達がデンマーク社会に融合しています。」と述べます。

ヴァーデ市は、他の農村地帯の市と同様に、市民の獲得と定住に苦労しているので、出稼ぎに来た移民が定住することによって恩恵を受けています。

上述のティナ議員は、「私達はヴァーデ市にもっと多くの労働力を必要としています。家族全員が来てくれることが、市全体にとって有益です。ヴァーデ市は、地理的にはデンマークで5番目に大きな市ですので、活気を必要としている学校、保育園、小さな地域コミュニティーが沢山あります。東欧から出稼ぎに来る移民が家族で定住してくれることによって、活気が生まれます。」と述べます。

デンマーク産業連盟（DI）は、多くの市が外国からの労働者へのサポートに焦点を当てていることを歓迎しています。デンマーク産業連盟のスティーン・ニールセン副会長は、デンマークはコロナ危機でダメージを受けましたが、それでも多くの企業が労働力を必要としている為であると述べます。

「コロナが収束した後には、多くの企業で更に多くの労働力が足りなくなることを、私は確信しています。その為、私達は外国からの労働者をより多くデンマークに惹きつけ、定住してもらえるよう、今までより更に努力する必要があります。より多くの外国から来た労働者がデンマーク社会に馴染んでくれれば、定住を選ぶ可能性も高くなります。そうすれば、企業にもプラスとなり、また税収が上がって市の財政にも寄与するので、彼らの貢献度は高いです。」

リンクビング－スケアン市も、特に東欧からの移民を惹きつける為の政策に熱心な市の一つです。リンクビング-スケアン氏のハンス・ウスタゴー市長は、「私達の市はとても生産力が高く、その生産を支える人員が必要です。その為、外国からも労働力が必要なのです。観光、サービス産業、製造産業、農業において、東欧からの労働力の恩恵を受けています。」と述べます。

リンクビング－スケアン市は、特に東欧の労働者に向けて、デンマーク中西部に来る利点を伝えて移住を鼓舞するキャンペーンを繰り広げています。

東欧からの移民が単に出稼ぎの為にデンマークに短期間滞在するのでなく、家族を連れて定住することを選ぶには、市が大きな役割を果たします。

オーフス大学人類学分析部ヨハンネ・コースデル・サーンセン研究員は2020年、リンクビング－スケアン市を対象として、外国からの労働者を定住に導く為に取る方策の推奨事項を探る為のプロジェクトを完了しました。

このプロジェクトの結論は、出稼ぎとして来る労働者の家族がデンマークに来て、家族も仕事を得、デンマーク社会を居心地良く感じるようにすることだというものでした。

ヨハンネ研究員は、「出稼ぎ労働者に帯同する恋人や配偶者が、デンマークでの定住を決めるか否かに当たって非常に重要な要素であることが分かりました。家族をデンマーク社会に馴染ませることが、定住者を増やす為にはとても大切なのです。」

それに加えて、当初からデンマークに定住するということを選択肢として提示することもよいアイディアと成り得ます。このプロジェクトに参加した東欧からの労働者の多くは、素早くお金を稼いで国に帰るという短期的な滞在を想定していたと答えていたのです。

ヨハンネ研究員は、「短期的な滞在を想定してデンマークに来る場合には、素早くお金を稼いでさっさと国に帰ろうという意識でいるので、例えばデンマーク語の学校に通うといったデンマーク社会へ融合する為の努力はしたいと思いません。ですから、市が出稼ぎエージェント会社に働きかけて、デンマークが労働者の方々が定住すること歓迎しており、デンマークは家族と共に生活しやすい国であるということを広めることも出来ると思われます。」と提案しています。

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北欧デンマーク通信　

北欧の福祉や環境政策、さらには心地良いを意味するヒュッゲで知られるデンマーク。

国民みな共働きでワークライフバランス重視の考え方、生き方の、実際どうなの？を、

2003年からデンマークに在住の公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーター＆主婦で３人の母親の、

ウィンザー庸子がお伝えします。

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