デンマーク社会

フレックセキュリティー-デンマークの組織と解雇について

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こんにちは!デンマーク公認ガイド・通訳・コーディネーターのウィンザー庸子です。

北欧デンマークで私が見聞きすること、感じることをお話しています。

デンマークの人口は約580万人で、これは兵庫県の人口規模とほぼ同じとなっています。ちなみに、コペンハーゲン市の人口は市内が約65万人、市外の住宅地なども入れたコペンハーゲン圏では約130万人で、これは神戸市の人口規模に匹敵します。国土の大きさは九州くらいです。

我が家には、デンマーク人の主人、デンマーク人でもあり日本人でもある、小学校4年生と、1年生の男子2人と、1歳のちょうどお誕生日の日から保育園に入った女子1人と、日本人の私がいます。

そこで私たちがデンマークで生活する中で感じる、デンマークの教育や、仕事や、生活や制度、デンマーク人の考え方について、お話したいと思います。

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フレックセキュリティー-デンマークの組織と解雇について

デンマークの組織では、個人のパフォーマンスが要因となる解雇の事例を日本より頻繁に耳にすることがあり、更には、業績が悪くなった場合に行う集団解雇の話も大企業でさえもたまに耳にします。。。なんと公務員も、世界経済の悪化などで国の景気が悪くなり、税収が下がってしまった場合には、省全体で何%人員を削減という形で、集団解雇されることがあります。

私の主人は公務員ですが、勤続何十年もの職員の方が50歳代で集団解雇されて階段で泣いているのに出くわしてしまい、職場の雰囲気が今悪いんだと話していたことがあり、仰天したことがあります。

もちろん、公務員が国の税収が下がって集団解雇に至るずっと前に、民間企業の方々が大変な思いをされているはずではありますが、公務員の賃金の設定は、民間企業に勤務する同等の資格や能力の人のレベルよりも低いので、集団解雇まであるということは、公務員になるメリットって何なの?と主人に問うてしまいましたが、苦笑いするだけでこれといった回答は得られませんでした。

まあ、安定を求めるという動機よりは、やりたい仕事が公務員に当たる仕事だった人が就くということなのだろうと理解しています。例えば、国と国の外交の仕事がしたい、福祉に関わる仕事がしたい、教育に関わる仕事がしたい、という人は、公務員になるというのが自然な流れというケースが多いのだろうと理解しています。

その代わり、多くの人は業種別の労働組合件失業保険組合に入っていて、毎月8千円程度の組合費を支払っています。この組合に入っていて、一定の基準を満たしていれば、失業時には2年間の失業保険の給付を受けることができ、生活がすぐに危うくなる自体は避けられる体制が整っています。

というのも、デンマークでは所得税で給与の半分または所得によってはそれ以上が国に収められ、消費税も25%と高いので、デンマーク人には貯蓄が殆どないのです。。。デンマーク人の家計平均貯蓄は300万円で、日本人よりもずっと低く、持ち家率は60%と日本人よりも高いのですが、これは多くの人が30年近いローンを背負っていることを意味しますので、失業保険がなければ、次の月にはローンの支払に困ってうちを手放さねばならなくなるという人が多いのです。幸せ度調査で高いスコアを誇るデンマーク人の状況は、日本人には受け入れられない所が多いのではないでしょうか。

最大2年間の失業保険の給付期間中は、市町村が運営しているジョブセンターという日本で言えば職業安定所のような所で、再就職の為の求職に関する指導を受けたり、求職に有利となるよう能力向上のための職業訓練学校に通わせてもらったり、研修生への給与は市町村が補填する形で職場で実地研修を行わせてもらったりすることができます。実際に、研修先で人的ネットワークができたり、仕事ぶりが認められてそのままそちらに就職するという人も多くいます。

逆の見方をすると、再就職のための努力をしないで失業保険給付のみを受けるということはできない体制となっています。

こうしたデンマークの体制は、フレックセキュリティーと呼ばれています。労働者にとっては正社員でもいつ解雇されるかわからないという一抹の不安がありますので、私の日本人的な感覚から見ると大変だ、という固まったものではないのではないかと思ってしまいますが、実は、デンマークの企業や組織はこのフレックセキュリティーによって、国際競争力をつける為にも、柔軟且つ強固な姿勢を保つことができているのだそうです。

すなわち、世界経済などその企業一社の力からではどうすることもできない向かい風に見舞われた時や、反対に業績が良くなって人員が足りなくなった時に、組織のサイズを柔軟に素早く拡張あるいは縮小させることで、マーケットニーズに対応することができるのです。人員を増やす時にも、いざ景気が悪くなった時には固定費の増加で会社が苦しくなるなという心配がデンマーク企業には少ないということなのです。そんな時には不要になった分は解雇すればいいのですから。。。

その結果か分かりませんが、日本で聞くよりも、デンマークでは、転職したという人をよく聞きます。デンマークの企業や団体では、職場が費用を出してくれて勤務時間内に研修を受けられる機会が多く、よくセミナーに参加するから返事は数日後と言われることも多いです。私の主人もよく、セミナーに参加するから今日は別の場所に行くといったことがあります。

こうして、労働者の側も、就職後も自分の能力を高めて、より自分のニーズや関心にあった職場を求めて動くことが頻繁にあります。私の主人は公務員ですが、40代半ばで自分の意志で別の省の募集に応募して、転職しました。日本では、公務員の方が所属する省の意向での出向以外で別の省に転職したり、別の企業に転職することは珍しいのではないかと思います。

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