デンマークで、事業者が顧客にコロナパス提示を求める難しさ

北欧デンマーク通信

デンマークの教育や生活、働き方、制度やデンマーク人の考え方について

こんにちは！デンマーク公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーターのウィンザー庸子です。

北欧デンマークで私が見聞きすること、感じることをお話しています。

最新情報をメールでお届けしています。

また、現地在住ガイドが、本当は教えたくない(？！)とっておきのデンマーク・コペンハーゲンの穴場スポット「コペンハーゲン裏スポット30」も無料ご送付しております！

よろしければ是非、こちらからご登録下さい。

www.hokuoryoko.com

***************

デンマークの人口は約580万人で、これは兵庫県の人口規模とほぼ同じとなっています。ちなみに、コペンハーゲン市の人口は市内が約65万人、市外の住宅地なども入れたコペンハーゲン圏では約130万人で、これは神戸市の人口規模に匹敵します。国土の大きさは九州くらいです。

我が家には、デンマーク人の主人、デンマーク人でもあり日本人でもある、中学校1年生と、4年生の男子2人と、1歳のちょうどお誕生日の日から保育園に入った3歳の女子1人と、日本人の私がいます。

そこで私たちがデンマークで生活する中で感じる、デンマークの教育や、仕事や、生活や制度、デンマーク人の考え方について、お話したいと思います。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

デンマークで、事業者が顧客にコロナパス提示を求める難しさ

デンマークでは、2021年4月6日からコロナ感染防止ロックダウンが一部解除され、一部の地域を除き、美容院、マッサージサロン、タトゥーサロン、自動車教習などの民間サービス業が再開されました。

こうしたサービスが再開される条件には、事業者も顧客も、コロナワクチンを接種したか、2-12週間以内に罹患して回復したか、72時間以内に検査を受けて陰性だったことを証明するコロナパスをスマートフォンで提示することが課されました。

ユトランド北部県のヤコブ・ベアトラムセン医療計画部長は、前日の5日にコロナ検査を受けた人の数が「恐らく今までの最高記録となっただろう」と述べています。

しかし実際には、顧客にコロナパスの提示を求めるのは、全てのサービス事業者ではないことを、デンマーク中小企業連盟と、ゾーンセラピー施術者と指圧施術者を会員に持つ民間サービス提供者連盟は認識しています。

ユトランド半島南部のスケアベックのゾーンセラピストであるリーネ・サマー氏は、以下のように告白します。

「私のご近所さんでもあるお客様にコロナパスはお持ちですかと伺うのは、ちょっと限度を超えた要請だと思います。それ以前に、予約してきてくださるだけでも感謝で頭を下げたい所ですのに。」

リーネ氏は、やっと再開を迎える中で、水を差すようなことはしないと言います。

「ずるをしているとは思いません。それどころか、実際私たち皆がこの状況を乗り越えられる様しなくてはならないことをして、サポートしてきていると思います。パンデミックを乗り越えるには、精神的な健康維持もとても大きな意味を持ちます。」

リーネ氏は、もし当局が顧客のコロナパスを確認せずに事業を再開することに対して罰金を科すならば喜んで受けると述べます。

小規模事業者に対する罰金は3000クローネ（約53000円）です。この罰金刑後に継続して、コロナパスを持たない顧客を拒否しなかった場合には、罰金額は9000クローネ（約157000円）に上がります。

従業員が10人-49人の中規模事業者に対しては、罰金は初回6000クローネ（約106000円）、大規模事業者に対しては、罰金は初回12000クローネ（約212000円）です。

デンマーク中小希望連盟は、リーネ氏のように、コロナパスを提示しない顧客を拒否したくないという事業者の気持ちをよく理解しています。

上述のヤコブ会長は、

「第一に、私達の経験と調査から、美容院やその他の民間サービス業で感染が拡大するという例は極めて稀です。従って、事業者にコロナパスを確認させろというのは酷なことです。」と述べ、コロナパスの提示を求めなくてはならないという要請が引き起こす難しさの度合いが、国や都市によって異なるということを懸念しています。

「コロナパスの問題は、大都市に住んでいない多くの市民が、コロナ検査を受けることが難しいということにあります。私達の心配は、コロナ検査を受けなくてはならないなんてあまりにも面倒だということで、美容院やマッサージサロンに行くのは、コロナワクチンを受けるまで待とうと思うかもしれないということなのです。」

ヤコブ氏は、そう考える顧客が多いと、事業を再開する意味がないと述べます。

シモン・コレロップ産業大臣は、ヤコブ氏とは異なる考えを持っています。

「コロナパスは、デンマーク人にとって、他国のようにロックダウンに入らねばならないのではなく再開することが出来る、社会への入場券を意味します。従って、検査を受けて、コロナパスを使うことは、社会を再開し続ける為に小さなことなのです。」

コロナパスは5月末までMin Sundhedアプリまたはウェブサイトsundhed.dkから提示でき、更に6月以降は、個人情報の保護など指摘された問題に対処した、コロナパスに特化したアプリが開発されました。

現在では、コロナワクチンの接種も進み、また、コロナ抗原検査をちょっと受けて陰性証明を取得し、コロナパスを提示するということに国民も事業者もかなり慣れて、コロナパスを介してかなり普通の生活が戻ってきています。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

北欧デンマーク通信　

北欧の福祉や環境政策、さらには心地良いを意味するヒュッゲで知られるデンマーク。

国民みな共働きでワークライフバランス重視の考え方、生き方の、実際どうなの？を、

2003年からデンマークに在住の公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーター＆主婦で３人の母親の、

ウィンザー庸子がお伝えします。